IK Multimedia「MODO BASS」を使ってみた

2016年11月末、IK Multimediaよりフィジカル・モデリング・エレクトリック・ベース音源「MODO BASS」が発売されました。私は発売の約1ヵ月ほど前にこの製品が発表された時、デモを聴いてビビッと来たのですぐに購入予約をしたのです。ベース初のフィジカル・モデリングっていう期待と、発売記念半額セールでしたし。しかし、公式デモってどの製品も長所アピールで良い感じに聴こえるようになってるので、実際に使ってみるとあんまり・・・ってこともありますよね。
そこで、今回はMODO BASSを使ってみた感想を、サンプルも交えて書いてみたいと思います。

  • はじめに

↓詳細内容は公式参照、デモも聴けます。
http://www.ikmultimedia.com/products/modobass/

私が普段生系のベースでよく使用するソフトはSpectrasonicsの「Trilian」です。こちらについてはベース音源では定番の有名ソフトなので、既に解説されてる方が多くいらっしゃると思いますので割愛。Trilianは超有能で私も気に入っているのですが、生系ベースはどうしてもニュアンスが生っぽくなかったり、スライドやミュートなどの細かい部分が不自然だったりするんですよね。そういう部分をMODO BASSは補ってくれそうな感じです!

  • サンプル比較

というわけでサンプルを作ってみました。
1.生演奏
2.MODO BASS
3.Trilian
ピック演奏で同じフレーズを上記3パターン、連続で再生されます。


1.生演奏
いつものFenderの5弦ジャズベースで、アンプシミュレータ(POD HD500)を通してライン録音。軽くコンプはかけたものの、全く調整してない録音してほぼそのままの状態。結構粗は目立ちますが、音などは問題なし、こんな感じ。


2.MODO BASS
音色というか音質というかはシンセくささはあるものの、フレーズ感、ダウンアップのピッキングの感じはなかなか。スライドの部分なんかはかなり自然な感じになってると思います。


3.Trilian
単音でのサウンドはむしろ生演奏よりもいいんじゃないかと思うほど。ベロシティやノートの長さを少し大げさめに調整してフレーズ感を出そうとしてますが多少違和感がありますね。スライドも最後のはサンプルそのままなので自然ですが、ピッチベンドで調整している途中の部分はやはり違和感あり。

  • MODO BASSの強み

MODO BASSはサンプラーと比べてしまうと単音でのガチなリアルさは劣るかもしれません。しかし、フィジカル・モデリングを活かしたプレイの自由度の高さ、生演奏っぽさを表現するニュアンスという、これまでのベース音源に足りなかった部分が特に優れているのです。
その差がわかりやすく出たのがスラップのフレーズサンプルです。


↓Trilian

MODO BASS


上記を聴き比べると「MODO BASSの方が良い(生っぽい、自然)」と思う人が多いと思います。
Trilianに限らずどの音源(サンプラーなど)は単発の音は良くても、このようなフレーズを打ち込むとどうしても不自然になってしまいます。しかしMODO BASSは、音の繋ぎやミュート、弦のビビり感などの細かい独特のニュアンスが上手く表現されており、とても自然に聴こえます。

加えて、演奏時に細かい指定ができることも大きな強みです。例えば、上のサンプルでは途中で高いソの音が出てきますが、Trilianの方は弦の指定ができないので普通に2弦5フレットっぽい音になっていますが、MODO BASSは弦の指定が可能なので、1弦の開放弦の音に指定しています。そのため、開放弦独特のアクセントが追加されることで生っぽいベースのフレーズ感を高めているのです。
その他にも、チューニングはもちろんピッキングの位置やアップorダウンも、ピックアップの種類や位置などというマニアックな部分まで調整できます。そこまでこだわる人がいるのか!?

  • 他の方の記事

・新しいスタンダードになる予感がするフィジカル・モデリングのベース音源『MODOBASS』 / こおろぎさん
http://kohrogi.com/?p=8024

・フィジカル・モデリングのベース音源『MODOBASS』発売を受けてTrilian使いから / deja音色さん
http://smb2.net/review/sound-source/428.html

・どっちがリアル?話題のフィジカル・モデリングベース音源「MODOBASS」VS「Trilian」 / ひろ★ろんさん
http://hiroronsxm.net/2016/12/04/post-1301/


私が他に思うところはもうだいたい上記に書いてあります。他の方ももっとわかりやすいサンプルを作られているので是非聴いてみてください。

  • Trilian vs MODO BASS

ツイッターなどで「TrilianとMODO BASSとどっちの方がいいの?」っていうのを見かけますが、同じベース音源でも方向性が違うので・・・、自分に合う方を選びましょう!


☆Trilianの方がいい人
・「ベースは重さが命や!」「音が太くなきゃベースじゃねえ!」という人。
・シンセベースやフレットレスなど音色の幅が広いので、色んなジャンルの曲を作る人。
・実は普通にシンセとしても使える(Omnisphereと同じ音も入ってる)ので、そっちの音源も増やしたい人。


MODO BASSの方がいい人
・生演奏系の曲しか作らない、もしくは生演奏系以外は他の音源があるという人。
・かなり自由度が高いので、めっちゃ細かい調整までしたいという人。
・逆にベタ打ちでもそれっぽくなるので、調整なんか全くしたくないよという人。
・ベースが下手なギタリスト。

  • 以上です。

ベースの打ち込みは多くのサウンドクリエイターを悩ませてきたと思いますが、MODO BASSはそこに新しい風を吹き込むような存在になる気がします。Trilian含め他のソフトも一緒に使いながら、もっと可能性を探っていきたいと思います。
どうでもいいですが、生ベースの音はたまにSONAR付属音源であるD-proを使ったりします。特にウッドベースはガチすぎない感じがちょうど良くて、ミックスもしやすいのでちょくちょく使ってます。皆さんもSONARを使いましょう。(ステマ